Category Archives: 畑だより

畑だより ―新物野菜が出てきます―

G.Wをはさんで今年種を播いた野菜が届きます。
その前に、5月初旬から竹の子が栃木鹿沼の田島君から出荷されます(それまでは奈良西吉野・王隠堂さんから出ます)。先日、「竹の子はまだか~、いつからだ~」とFAXしたら、「知らないよ~、竹の子のことは竹の子にきいてくれ~」って返信があったのだけど、一応見通しとしては「5月1日からかな。ただし、今年は雨が少なく春が寒かったのと、表裏でいうと裏年(不作)にあたるので、少ないと思うよ」ということでした。出荷の始まっている九州の産地では、例年の1/7位というニュースも流れていました。
量は少ないかもしれないけど、とれたて竹の子でます。
田島君からが瑞々しい葉付大根・味美菜・小かぶがでています。
G.Wが明けると、栃木鹿沼の鈴木章さんからブロッコリー・カリフラワー・レタス・絹さや・スナップエンドウ・小かぶ・白菜などが出てきます。
神奈川愛川町の北原君からは、リーフレタス・大根・小松菜・長ネギ・チンゲン菜・スナップエンドウ・そら豆などが出荷予定です。
この春1年生になったばかりの長女・雫(しずく)ちゃんは、学校から帰るとさっそくお手伝い。野菜の袋詰めやダンボールたたみや伝票貼りなどをこなし、「もう戦力ですよ」と頼りにしている様子。6月にはあひる店頭直売の予定。
春なので、野菜&ハーブの苗がはじまりました。4月中旬~5月一杯、20種類程の苗が順次出荷されてきます。
バジル・青じそ・ジャーマンカモミール・なす・ピーマン・ミニトマト……、ラインナップと出荷時期を記した注文表を配布中です。作っているのはパクチーを出荷している茨城のハーブスマンです。
果物は、一番人気の黄金柑・甘夏・グレープフルーツ・河内晩柑・レモン、そして酸っぱい夏みかんもでます。
沖縄石垣島の平安名さんからは、味の濃いパイナップルがおすすめ。いちご・バナナ・キウイフルーツといったラインナップです。
野菜・果物とも、間もなく充実してきます。
※あっ!今FAXがきました。沖縄から南瓜がでます。

畑だより ―今回はタマゴです―

端境期に向っています。
野菜(畑)は夏作と冬作が基本で、春作秋作というものは少ないです。
冬野菜(白菜・葉物・里芋・蓮根など)が終わりに向い、夏野菜(トマト・キュウリ・ナスなど)がマダマダというこの時期、百姓は夏野菜の苗作りや土作りに忙しく、八百屋は売る野菜がなく暇しています。
沖縄まで産地が広がったので(25年かかりました)早目の夏野菜が出てきていますが、ボリュームはありません。
そこで、今回はあひるの家が取り扱っているタマゴの話しです。栃木県芳賀郡市貝町の高田さんからになります。
農場名は『ひのき山農場』、会社名は『(有)おひさまぽかぽか』。なんとも、銀行の窓口で「おひさまぽかぽか様~」なんで、アナウンスされたら絶対「ハ~イ」などと出ていきたくない名称です(あひるの家も似たようなもんだけど)。
高田さんとは30年のつき合いになります。
25才の時に、「田舎で動物を飼って暮らしたい」とあちこち探して、「いいよ、貸してあげるよ。ただし、自分でやって」と言われたのが今の処で、桧が林立する森だったそうです。
まずは樵(きこり)から。伐採して整地するのに3年かかり、何度も「やめようかな」と思ったそうです。
はじめは豚も鶏も飼って、加工場も作ってバァーンとやっていたのですが、今は鶏だけで、それも採卵だけになっています。

高田さんの飼育の仕方と[一般の飼育の仕方]を比べてみると、

  • ひよこから5ヶ月かけて飼育し、成鶏になってから採卵をはじめます。
    [100日 (15才くらい)から採卵。体ができていないので病気多⇔薬剤多]
  • 平飼い。一坪に12羽。陽も風も通る鶏舎。昼起きて夜眠る。
    [ゲージ飼い。一坪に70~80羽。7段~8段の棚飼い。ウインドレス。終日照明]
  • 栃木産大麦・小麦、有機農家のモミ付飼料米、卵の殻、カツオ・コンブの食品残さを乾燥。食材を買ってきて自家配合。
    [輸入配合飼料。抗生物質をはじめ、予防薬剤を混ぜる。早く育てるため高タンパク高カロリーが主]
  • 淡い黄色。臭味がない。
    [トウモロコシ、色素など色付け飼料。生臭い]

高田さんいわく、「卵アレルギーの要因は、投与されている薬のせいじゃないかな」とのこと。
ひのき山農場は高田和彦・悦子夫婦と木綿(ゆう)果琳(かりん)の姉妹とお手伝いの人で運営。電話をすると若い娘の元気な声がきこえてきます。
これからも【おひさまぽかぽかの卵】を食べてください。

神奈川愛川・北原くん一家のヨーロッパ旅行記①

トマトソースに導かれ ~有機農場を巡る旅 イタリア編~

昨年の夏の終わりから秋にかけて、大きな台風や長雨の影響で全国的に不作となり、私たちの畑も例外なく大きな被害がでました。そのとき取れるような野菜も打撃をこうむりましたが、一番大きく被害を受けたのは年明けから収穫する予定だった作物でした。
「収穫するものもなくなり、この先どうするんだろうか」と一晩悩みましたが、出した結論は「じゃあ旅にでよう」ということでした。
テレビ番組で見たイタリアの農家は陽気で、家族みんなでトマトソースを作り、お昼ごはんの時にワインを片手に歌を唄っていました。
その姿はまさに農民。こんな生き方、在り方があるのかと感激し、こんな人たちに会ってみたい、という単純な欲求から行先をイタリアに決めました。
ただ、エアーチケットを取る段階で、せっかくだからお隣のフランスも見ておくか、ということになり行き先はイタリアとフランス、全12日間の行程で決定しました。
旅に出るにあたり、幼い子どもたちを連れていくことに心配の声が多数寄せられました。とはいえ置いていくわけにもいかないので、深く考えることなく、家族5人のドタバタとした旅が始まりました。
機内では映画にお酒、読書に昼寝と普段やりたくてもできないことがみっちり13時間もできる!と楽しみにしていましたが、蓋を開けてみればなんのその、「暑くて眠れない」、「せまくて嫌だ」、「気持ち悪い」、「トイレ」などなど3人の子どもたちに振り回され続け、映画一本を見るのに20回は中断させられ、諦めて眠ろうにもすぐ起こされ、地獄のようなフライトに。イタリアに着くころにはこちらの方が疲労困憊になり、あんなに好きだった飛行機に二度と乗りたくないと心底思うようになっていたのでした。

翌日、最初に訪れたのはローマ近郊の有機農場で、32haという私たちの25倍もの面積を有する大農場でした。しかし大きくとも合理的な作付や作業方法で運営しており、すべてはやり方次第ということを学びました。また、フクロウを呼び寄せて圃場にはびこるネズミを駆除したり、自然の仕組みを味方につけての方法論は感動的ですらありました。
途中、今までに見たことのない姿形の野菜を見つけるとその場で食べさせてくれたのですが、野菜大好きの3歳の次男が口に運んだのはラディッキョロッソ。口に入れるとほのかな甘みの後に割と強めの苦みが襲ってきます。それを喜び勇んでガブリ。みるみるうちに顔色が変わり、泣いて、吐いて、残念なことに…。
そんなこともありながら、忙しい中、3時間もの時間を、しかも無償で提供してくれた50代の農家さん。通訳さんを通して丁重にお礼を述べると、「同じ農民のつながりだから」との答えが。同じ大地に根差す農民の絆はたとえ地球の反対側まできてもつながっているのだと感激したのでした。

そして次に訪れた農場は同じくローマ近郊の60代の農家さん。彼は元銀行員でしたが、「人生を見つけるため」と若くして高給もステータスも捨てて脱サラし、ゼロから農民としてスタートした方でした。(高給もステータスもありませんでしたが)自分も同じ脱サラ就農者だと知ると、とても共感してくれました。
数匹の犬や猫が自由に歩き回っているだけでなく、ロバや鶏まで飼っていたため、畑に興味のない子どもたちは動物たちと戯れて過ごしていました。子どもたちの相手をしてくれていた農家のお母さんは「今日ほど日本語が話せたらって思った日はないわ!」と悔しそうにしたのが印象に残っています。

一通り畑の見学が終わると、「うちでお昼を食べていきなさい」と家に招き入れてくれ、ローマ名物のカルボナーラやとれたての野菜で料理をしてくれました。そこでごちそうになったカルボナーラの美味しかったこと。美味しさと感激でこの旅一番の印象に残る食事となりました。

また、予期せず憧れのイタリア農民のキッチンに入ることもでき、それも私たちにとってはとても嬉しい経験となりました。「なんでうちみたいなところに日本人がくるのか!?」と驚きを隠せなかったお父さん、お母さんもキス&ハグで別れを惜しんでくれ、「次は一週間くらいきなさいよ」と涙ながらに温かく見送ってくれ、お土産にはなんと自家製のトマトソースを持たせてくれました。イタリアに行こうと思ったきっかけである、農家のトマトソースです。心から嬉しかったのは言うまでもありません。

その後訪れたのは同じくローマ近郊の40代の新規就農者。北海道の美瑛さながら、どこまでも丘の続く美しい場所でした。
彼はバイオダイナミック農法というやり方で営農し、大地の力、宇宙の力を利用して生命力に溢れる野菜を栽培していました。
圃場を見学中、雨がパラツキ、強風が吹き始め、「一年で最悪の日に来たね」と笑いながら話してくれました。しかしそんな冗談を言っていたのもつかの間、寒風は非常に厳しく、一同鼻水を垂らしながらの視察に。それでもケラケラ笑いながらついてくる子どもたちを見て、「この子たち、すごいね。うちの子には無理だよ…」と感心されたのでした。
その後、寒すぎたために家に招かれ、お茶を飲みながら彼の話は続きます。
「私は製品を作ることに興味はない。食べ物を作っているんだ。化成肥料を使うことは簡単だけど、化学的なものが一切入っていない生命の息吹を感じる土壌で育った美味しく、香る野菜を食べてもらい、健康になってもらいたいんだ」
「イタリアでも若者の農業離れは加速している。だけれども、ぼくたちがやらなくちゃいけないよね!」
「遠く離れていても、考えていることは一緒なんだね!」
と熱く語り、大いに共感して固く握手をしてくれたのでした。そして別れ際にはやはり自家製のトマトソースを持たせてくれました。彼らの中でトマトソースの持つ意味というのが、なんとなくわかってきた気がしました。

ローマ近郊で出会った3軒の農家は60代、50代、40代と全員自分より一回り以上の先輩たち。それぞれにここまでの人生があり、農業における苦労を話してくれました。技術もさることながら、彼らの生きざまを心に焼き付け、イタリアをあとにしたのでした。

畑だより ―年末野菜はあるのだろうか?―

台風がつぎつぎと上陸した夏以降、「こんなに野菜がなかった時はなかったなあ」とタメ息ばかりの今年、サテ、最後はうまく締められるだろうか?ということなのですが、「ダイジョーブです」と言えそうです。
播きなおした秋野菜と、はじまった冬野菜が重なりはじめ、やや過剰になりつつあります。
晴天がつづくと野菜の生育が早く前倒しになり、今度は年末野菜が手薄になるんじゃないかの心配もありますが、「今冬は寒い!」ということなのでダイジョーブでしょう。
まず正月野菜ですが、小松菜・ほうれん草・春菊・ゆり根・セリ・柚子・銀杏・八つ頭・金時人参は豊富にあります。
お雑煮に欠かせない三つ葉は、今季も期待できません。情報を集めているのですが、芳しくありません。
冬野菜としてはブロッコリー・カリフラワー・セロリ・キャベツなどが、霜がおりることがない愛知渥美半島から、いんげん・ピーマン・きゅうり・トマトなどが、今なお25℃ある沖縄から届いています。
金柑・いちごも始まりました。寒さで一段と糖度をまし、野菜・果物がおいしくなっています。
年末は26日~30日まで毎日入荷します。

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畑だより ―野菜がおいしくなってきたゾ!―

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天候も安定してきて、野菜もようやく出はじめました。
寒さを感じる日も多くなり、一枚一枚と着る物を重ねていくように、野菜たちも寒さで凍ったりしないよう糖度をあげて寒さをしのいでいきます。ということは、甘~く実もしまって旨さがまします。
収穫が終って雪景色に変わった北海道の貯蔵庫では、じゃが芋・玉ねぎ・人参・南瓜が、これまた凍らないよう糖度をあげていきます。
野菜ってなんて賢いんでしょうね。生きてるってことだよね。
ということで、大根・蓮根・長ネギ・里芋・さつま芋・ごぼう・北海道野菜がおいしくなってきました。
葉物類も、北原君の畑は小松菜・小かぶ・パクチョイ・わさび菜・京菜・赤リアスからし菜とバリエーション豊かになり、茨城からの白菜・春菊・ほうれん草もはじまり、ラインナップがそろいました。ただ、「霜があたって甘くなる」のにまだ間があるので、味ののりはもう少しです。
寒くなって甘く、味が濃くなるのは果物も同じで、酸味が抜け深い味わいになってきたみかん、各々の味わいがはっきりしてきた【ふじ】【北紅】【千秋】【紅玉】【星の金貨】などのりんご、色も味もよくなった富有柿(ただ、10℃を下まわると透明になってしまうけど、これはこれでウマイ)と楽しめます。
「あ~あ、これから冬かよ、春だったらいいのになあ」と、ついため息がでますが、食い物はうまくなってきます。あったかいものを食べて、元気だしていきましょう。

畑だより ―畑未だ回復せず でも少しずつ…―

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89月の台風と長雨と日照不足で、実っていた夏野菜と育ちつつあった秋野菜が壊滅的被害を受けました。
神奈川・北原君からは、8月中旬から今まで、まだ一度も野菜が届いていません。1030日にお客さんと収穫祭やるのだけど、実っている野菜があるのかなあと心配です(※)。
畑の土は今なお水分が抜けず、種を播いても発芽しなかったり、出ても生育しなかったり、虫にアッ!という間に食べられたりを繰り返しています。
うまくすると11月中にほうれん草・壬生菜・パクチョイ・かつお菜などが育ちそうで、12月にはブロッコリー・カリフラワー・キャベツ・白菜が出そうだという希望的観測です。順調に出るのは「年明けから」ということになりそうです。
影響が少なかった百姓からは、それでも少しずつ秋野菜が届きはじめました。
山梨からは秋大根・レタス・サニーレタス・リーフレタス・かぶ・白菜・キャベツ、茨城からはほうれん草・小松菜・春菊・水菜・チンゲン菜などの葉物類がはじまりました。キャベツ・ほうれん草は極少な目です。11月中旬位には潤沢に入荷し、価格も下がります。
実りの秋満喫は果物です。
奈良・王隠堂さんの富有柿、瀬戸内海高根島・井場さんのみかん、群馬・大野さんのキウイフルーツ【紅妃】、長野・松川有機の超特大梨【新高】、長崎有機の新登場レモン。
そして色鮮やか味いろいろのりんごが青森弘前・伊藤さんから続々入荷です。甘酸っぱい【紅玉】【千秋】、甘くて硬い【ふじ】【北紅】と、お好みに合わせられます。
北海道富良野・阪井君(例年の半作)、神奈川愛川の北原君をはじめ、この夏秋は百姓たちには辛い季節でした。
八百屋にとっても「あれもない」「これもない」と、意気の上がらない時でした。
あと2ヶ月、晴れの快い日も多くなり、「ヨシ!」と気分が高揚してきています。

※元ネタのあひる通信発行時は10月28日でした。北原くんちの収穫祭は参加したみなさんによろこんでもらい大成功こうでした。

畑だより ―今年は実りの秋とはいきませんでした―

前号でお知らせしたように、台風8910号によるダメージと、続く曇天、雨でサンザンだった89月。
「雨、雨、雨、雨、雨、雨…… あ~、お日様が見たい」「ウツになりそう」「おれたちも光合成生物なんだということがわかった」…… と、目いっぱいおちこんでいた百姓たちも、冬野菜の種まき、育苗に日々動きはじめました。
ということは、夏野菜はもうとっくに、秋野菜もほぼアキラメタようです。
また雨と曇り、おまけに台風がまたきています。
ということで、
店先には「あれもない」「これもない」と淋しいかぎりです。
元々910月は端境期で野菜がない時なのに、更に徹底的に追いうちをかけられています。
全てが不安定なのですが、その中で最も厳しいのは北海道野菜(じゃが芋・玉ねぎ・人参・南瓜・大根・ほうれん草…)、その中でも人参・ほうれん草はあったりなかったり、他にキャベツ・レタス・小松菜・春菊・京菜など葉野菜が、生育不足と日照不足によるベト病などがでて難しいです。
この後、天候か回復したとして、10月下旬位からブロッコリーなどを含めた遅ればせながらの秋野菜が見込めますが… それまでナガ~イ!
とはいえ、秋ならではのおいしいモノもでてきました。
まず果物です。
青森弘前・伊藤さんから、伊藤さんオリジナルの【いとう】【ひろさきふじ】【千秋】【つがる】とおいしいりんごが届いています。お待ちかねの【紅玉】も、あと2週間位です。
更に、今だけ伊藤さんの洋梨が入荷中。甘酸っぱくてドシッとしていて、食べでがあって安いです。
そして「ミカンといえばイバさんでしょう」の瀬戸内海高根島・井場さんから、みかんが始まりました。小粒ですが、早くも味が濃くてうまいです。レモンも続きます。
山梨勝沼から【巨峰】【ベリーA】【甲州】のぶどうが、あとはバナナ・キウイフルーツのラインナップとなります。
少ないけど野菜の新物として、茨城・要ファームの蓮根、栃木・田島君の里芋、茨城・飯塚君の紅あずま・ごぼう、茨城・要ファームの栗(大きくてウマイ!)、茨城・ハーブスマンの福山君からパクチー・イタリアンナス・ベル型ピーマンなど、珍しくて面白そうなのもでています。
新米に切り替わったお米は、栃木鹿沼・鈴木章さんのコシヒカリ、長野伊那・伊藤さんのおむすび米(コシヒカリ&ミルキークィーン)、茨城かすみがうら・竹村さんのもち米です。
「八百屋なのにニンジンもキャベツもないの?!」と、少し強い口調で言われるとメゲます。「あひるの家はやっぱり八百屋なんだなあ」と、つくづく思いました。

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北海道富良野市麓郷・阪井さんからの手紙

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38年前、まだ始まったばかりのあひるの家で半年間リヤカー八百屋をやっていた、富良野麓郷(ろくごう)の阪井さんから、生産者便りが届きました。

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いつもより雪融けが早い順調な春のスタートと思いきや、雨が多く、晴れ間をぬっての種蒔き、移植がやっと終了。
その後も畑が乾く間もない雨が続き、多湿低温で56月出遅れ、猛暑が続く78月でも生育が追いつかず。
8月末の71193連続の台風上陸、その後1013号での大雨。畑の土や野菜が流され、1週間で400mm以上の雨量で、収穫作業もなかなか進みません。
水源地が土砂で埋まり断水したり、主要道路が寸断されたりと、自然の力を改めて確認する試練の一年になりました。

【じゃが芋】 早生白・さやあかね
発芽までは良かったのですが、その後の生育が進まず、早生白は花芽もそろわず、玉付き小さく、経験のない台不作になってしまいました。さやあかねはもう少し良いですが、不作です。味はデンプンはのって、粉ふきになる芋です。

【玉ねぎ】 オホーツク222・アーリーレッド
移植が春の雨で遅れ、その後の長雨低温で全国的に被害をもたらしたベト病が多発して、消えてしまうもの、小さく出遅れるもので、かなりの大不作です。味は甘味もあり、いつもの味だと思います。

【南瓜】 九重栗・味早太・味皇・坊ちゃん
春の低温多湿でかなり出遅れ、草勢がいつもよりなく、玉付きも悪く小さめで、大不作です。南瓜は環境の中で育てられる子の数が決まるので、玉付きが悪いのも…!

【小豆】 しゅまり 【金時豆】 大正金時
生育は平年並みかと思われていたのですが、8月下旬よりの台風の多雨多湿で花付きが悪く、収量はあまり期待出来ません。

【小麦】 春よ恋
何故か、生育のタイミングが良かったか…? 豊作でした。

昨年の8月末から冬にかけて、見たことも無いネズミの大発生で驚きましたが、これは今年の天災を予期した事だったのでしょうか…!
50年に一度という経験は、一生に一度か、長生きすれば二度ということになります。そう考えたら、甘く見てはいませんが、来年は良い年に…!
今年は小さな野菜たちですが、想像も出来なかった過酷な環境の中、乗り越えるためにエネルギーをため込んで、力強く美味しく育ってくれました。
そんな事を想像しながら味わっていただけたら幸いです。

収穫できる幸せ、食べる幸せ、暮らす幸せに感謝。

20169月 38回目の収穫の秋

富良野 百・我(ももんが) 阪井 永典・伊知子・奏太

追伸

私事ですが、申年の還暦です。この秋、同じ環りの申年の初孫が生まれます。大収穫の秋です。

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百姓は、心が強い!
阪井くんの【じゃが芋】【玉ねぎ】【南瓜】【豆】は、余剰が出たらあひるで引き取ると、代表狩野と阪井くんが電話で話していました。
来年2月に東京に来るときは、また一緒に飲みましょう!

畑だより ―台風に襲われた百姓たちは―

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台風被害の様子をお知らせする前に、嬉しい話しから。

新米穫れました!入荷始まりました。

○栃木鹿沼・鈴木章さんakirasan

関東での豪雨のニュースでは、最近頻繁に登場する「鹿沼」。その度に電話をすると、「降ってねえよ。雨不足だよ」とそっけない章さんの田んぼでは、45度目の稲刈りが始まりました。
高温が続いたせいで、「最良!」と、謙虚な章さんにしては珍しく誇らし気でした。
25℃以下で発生するイモチ病も出ないで、この後1ヶ月かけて収穫する間に台風がこなけれりゃ最高だよ」
ということで、始まります。祝!新米(コシヒカリ・農薬・化学肥料不使用)

○長野伊那・伊藤さん

【おむすび米】として大好評のお米。「大変順調に育ちました。食味も粒も良好です」とのこと。9月下旬入荷(コシヒカリ&ミルキークイーンのブレンド米・農薬・化学肥料不使用)
お米屋さん高ちゃんからは、「九州・北海道・東北太平洋沿いの米が、台風による倒伏被害がすごく、米の値段が高騰の見込み。それ以上に、国産豆の8割を占める北海道がやられて豆の色抜けも発生し、金時豆・小豆などの色がつかないし、品質も良くないようだ。今出ている豆をキープした方がいい」という話しもありました。

●北海道富良野麓郷・阪井永典さんsakaikun[1]

麓郷(ロクゴウ)はTVドラマ『北の国から』の吾郎さんの家があるところです。
9号直撃の後連絡したら、「300ミリの雨が降って、畑一面10センチメートル位の水たまりができ、ひかないんだよ」
「それよか、畑から水が噴き出してんだぜ。じゃが芋も玉ねぎもまだ土の中だから、どうなっちゃてるんだろうね」
「それよか、部落の共同水道が土砂崩れで壊れて断水して、市から給水車に来てもらってサ。その間部落総出で山に入り給水管を直したのサ。それでサ……」
2030分、合いの手を入れる間もなく話しつづけていました。
元々よく喋る奴だけど、切迫した状況なんだなということが伝わってきました。
北海道の農業は年1作なので、ここで穫れなければ収入がない、借金が残るということになってしまいます。
台風10号の後、南富良野・新得などの地域の壊滅的な状況がニュースで何度も流れました。
阪井君のところに電話をしました。女房のイッチャン(阪井君が35年前半年間あひるの家でリヤカー八百屋をやっていた時、よく遊びに来ていました。鹿児島出身)が出て、阪井君はヘッドライトを点け、まだ(夜8時)畑にいるということなので、様子をきいてみました。
「ここら辺は思ったよりも水引きがよくて、昨日今日とじゃが芋の掘り出しできたんだわ」
「ひどかったのは40キロ離れた南富良野や新得だよ。でも、山に近い、川が近い土手沿いとか、地形で被害があったみたいだよ」
「う~ん、元々春先に雨と曇りが多くて花が全然咲かなくて、今年は半作かなと思っていたので不作は覚悟していたけど、この台風で全滅かなと思ったんだ」
「だから、とれただけ良かったかなと思ってる。今年はそういう年だって」
……「出せる物があったら送って」と言って電話を終わりました。

○青森弘前・伊藤農園ito

10号が東北に上陸する前夜、連絡しました。
「防ぎようがないんですよ。りんごの実はみんななってるけど、早採りする訳にいかないし、祈るだけですね」
「今日やったのは枝と枝をはって、樹が倒れたり折れたりしないようにしました…。今年のりんごはあきらめるしかないですかね。祈るだけですよね」と、声がおもいきって沈んでいました。
10号が岩手・青森に甚大な被害をもたらし過ぎ去った頃、伊藤さんから電話がありました。
「大丈夫でしたよ。青森市内を直撃したのだけど、弘前はちょっと離れていたのでセーフでした」と、声を弾ませていました。
さっそく【さんさ】と【きおう】と【未希ライフ】のりんごを注文しました。

●神奈川愛川町・北原瞬さんkitahara

台風被害の最も大きかったのは北原君の畑でした。台風9号の雨と風は、畑の作物を全てダメにしてしまいました。
ここから北原君の話しです。

9月中旬~下旬まで出荷予定だった夏野菜(きゅうり・ピーマン・ミニトマト・オクラ・つるむらさき・白丸なす…)の全てが吹き飛ばされたり、ドロに埋まってしまいました。
まあ、これはあきらめるとして、10月~12月出芽を予定していた、芽を出し少し大きくなっていた白菜・大根・キャベツ・小松菜などが、被覆材ごと消え去っていました。「エーッ!年内収入ないじゃん」と畑で一人絶叫していました。
でもやることがたくさんあるので、気を取り直してやってます。ただ、資材に埋もれた野菜の片付け、畑の整地と気の重い作業です。
それと、土がグズグズでダメかもしれないけど、10月後半~年内、来年1月~3月の種を同時に播きはじめました。
あひるの家や40件の宅配も、しばらくお休みさせてください。野菜がないんです。
百姓5年目、毎年試練はあったけど、今年の試練はとても厳しく辛いです。
それでも種を播きます。土をつくります。あ~あ。

<その他の野菜情報>

始まりました:南瓜・冬瓜・里芋・さつま芋・れんこん・セロリ
果物は:りんご各種・ぶどう各種・梨(幸水・二十世紀・豊水)・バナナ・キウイフルーツ

畑だより ―人も野菜も避暑地に移動しました―

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6月がとても暑かったせいで、本来8月中旬から下旬まで続く予定の茨城・千葉・栃木・神奈川の夏野菜が終了に向っています。
収量的には、「ピークもなくダラダラ終わって張り合いがなかった」と神奈川の北原君が言うように、芳しくなかったようです。
「熱中症で2度も倒れた数年前の夏が懐かしい」という北原君も変ですが、「ヤッター!」との充足感の乏しい夏の畑だったということです。
そして、畑は標高4001000mの高原、或いは青森・新潟・山形・北海道へ移っていきます。
キャベツ・レタス・長ネギ・ピーマン・きゅうり・ズッキーニなどは山梨・長野・群馬から、トマト・大根・ほうれん草・小松菜・枝豆・だだちゃ豆・パプリカなどは東北・北海道になります。
昼夜の気温差が大きいので、実のしまったおいしい野菜が育ちます。
果物は夏本番! なんといっても山形尾花沢・高岡さんの西瓜です。雨が少なく、玉はあまり大きくならなかったのですが、シャリシャリ甘く旨いです。
そして、いよいよ青森弘前・伊藤さんからりんごがはじまりました。夏の紅・夏みどり・祝・つがると続きます。
この時期、やややわらかめだけど、甘くて酸っぱくて香りが良いです。
蜜のしたたる貴陽(すもも)、桃・デラウェア・プルーン・ブルーベリー・メロン・ネクタリン・バナナ・キウイフルーツと充実しています。食欲のない時は、果物を豊富にとりましょう。
夏野菜も、そうは言ってもあと1ヶ月くらいです。今のうちにたくさん食べてください。